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佐伯 正克
JAERI-Review 2004-011, 54 Pages, 2004/03
本総説は、筆者が関係した実験研究のうちから、放射性ヨウ素,トリチウム及びネプツニウムに関する研究成果をまとめたものである。ヨウ素の放射化学的研究では、多くの実験結果を総合的に判断し、放射性有機ヨウ素の生成機構を解明した過程を詳細に論じた。この生成機構に基づき、原子炉事故時における有機ヨウ素の生成の可能性等を検討した結果にも言及した。トリチウムに関する研究については、市販トリチウムの水素同位体組成分析,トリチウムの物質中での存在状態と拡散挙動,トリチウムの物質表面での吸着・脱離挙動、について研究成果を簡潔にまとめた。ネプツニウムに関する研究では、Npメスバウア分光で得た異性体シフトとネプツニウムの構造について、及びネプツニウム(VI)の水酸化物について述べた。
桜井 勉; 高橋 昭
Journal of Nuclear Science and Technology, 31(1), p.86 - 87, 1994/01
被引用回数:9 パーセンタイル:75.49(Nuclear Science & Technology)再処理プロセスで銀添着シリカゲル(AgSまたはAC6120)は無機及び有機ヨウ素の秀れた吸着材として知られている。この吸着材は、さらに、二酸化窒素による有機ヨウ素の分解に、触媒的に作用することがわかった。このため、AgSを充填したカラムにヨウ化メチルと二酸化窒素を含む模擬オフガスを供給すると、AgS中の銀がヨウ素と反応した後もヨウ化メチルの分解が続き、ヨウ素が析出する。ガスクロマトグラフなどでAgSの吸着量を測定する場合、吸着容量を過大評価するおそれがあるので注意が必要である。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英; 大貫 守; 安達 武雄
Nuclear Technology, 99, p.70 - 79, 1992/07
被引用回数:21 パーセンタイル:85.59(Nuclear Science & Technology)燃焼度21~39GWD/tのPWR使用済み燃料片(~3g/個)を硝酸溶液に溶解し、ヨウ素の分布及び化学形を調べた。溶解の際、不溶性残渣へ移行するヨウ素は全体の2.5%以下、溶解液中の残存ヨウ素は10%以下であり、残りはオフガス中へ揮発する(そのうち有機ヨウ素は6.5%以下)。溶解液中の残存ヨウ素の主成分はヨウ化銀などのコロイド状ヨウ素であり、ヨウ素酸であるとするフランス及びドイツの報告とは異なった結果を得た。コロイド状ヨウ素の除去にはNOが存在しない状態での溶液の加熱が有効であり、NOはこのコロイドの分解を妨げる方向に作用する。
佐伯 正克; 中島 幹雄; 佐川 千明; 正木 信行; 平林 孝圀; 荒殿 保幸
JAERI-M 90-084, 14 Pages, 1990/06
HTTR雰囲気における放射性有機ヨウ素の生成及び分解挙動について調べた。漏洩したCsIを模擬し、NaIを付着した黒鉛を、He、He+O、He+HO等の雰囲気中で加熱し、次の結果を得た。(1)有機ヨウ素は黒鉛から放出される炭化水素を炭素源として生成している。従って、黒鉛の加熱前処理により、生成量は著しく減少する。(2)有機ヨウ素は非常に熱分解しやすく、加熱した黒鉛床に通した場合には、90Cでも70%以上が分解する。(3)酸素及び水素の混入は、いずれも有機ヨウ素への変換率を著しく減少させた。これらの結果は、HTTR通常運転時には圧力容器内に有機ヨウ素の存在する確率は小さいこと、仮想事故時に格納容器へ放出される有機ヨウ素は非常に少ないであろうことを示している。
桜井 勉; 古牧 睦英; 高橋 昭; 出雲 三四六
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(11), p.877 - 879, 1984/00
被引用回数:3 パーセンタイル:59.52(Nuclear Science & Technology)再処理溶解工程オフガス中には1~10ppmの有機ヨウ素(主成分はヨウ化メチル、CHI)が含まれていると言われているが、それがゼオライト(ヨウ素除去用の吸着材)中でどのような挙動を示すか不明であった。著書らはCHIとNOの混合ガスをゼオライト13X、銀展着ゼオライト(AgX)等に吸着させ、脱着ガスを分析した結果、CHIはゼオライト上でNOと反応しヨウ素(I)、硝酸メチル(CHNO)、及び一酸化窒素(NO)を生成することを見出した。同様な結果をヨウ化エチル(CHI)についても得ることができた。したがって、NOx共存下では有機ヨウ素もI同様にゼオライトで除去することが可能である。
桜井 勉; 古牧 睦英; 高橋 昭; 出雲 三四六
Journal of Nuclear Science and Technology, 20(12), p.1046 - 1047, 1983/00
被引用回数:5 パーセンタイル:68.01(Nuclear Science & Technology)銀を含まないゼオライトによる再処理オフガス中のヨウ素除去プロセス開発の一環として、ゼオライト13Xに対するヨウ化メチル(有機ヨウ素と主成分)の吸着挙動を調べた。単体ヨウ素(I)と同じく、ヨウ化メチルもNO共存下で効率よく吸着する。注目すべき現象として、吸着したヨウ化メチルがNOと反応し、Iを生成することを確認した。有機ヨウ素も銀を含まないゼオライトで除去可能との見通しを得た。
佐伯 正克; 立川 圓造
Radiochem.Radioanal.Lett., 40(1), p.17 - 26, 1979/00
Teをヨウ素源として用い、銅表面での有機ヨウ素の生成機構と表面に留まるヨウ素の化学形を調べた。有機ヨウ素の生成物はCHIであり収率は0.15%であった。その他、CH5IとCHIの生成が認められた。反応条件を変化することにより、銅表面の有機不純物と壊変で生じた励起Iとの反応により放射性有機ヨウ素が生じていることを確認した。大半のヨウ素は銅表面に留まるが、その化学形はCuIであることをヨウ化メチルとの同位体交換反応を用いて確かめた。
木谷 進; 高田 準一; 西尾 軍治; 白鳥 徹雄
Journal of Nuclear Science and Technology, 12(11), p.717 - 721, 1975/11
被引用回数:3Na冷却型高速炉の災害解析において、Naの火災によるF.P.およびNaの大量放出が予想される。Naプール火災の場合、Na中の放射性ヨウ素の一部は酸化Naエアロゾルと共に気相中に移行する。しかし、ヨウ素の一部が揮発性化合物に変化するならば、その放射能はエアロゾルのように沈降、付着することなく空気中にととどまると考えられる。Na火災時に揮発性のヨウ素化合物が生成されるかどうかを研究するため、1mのステンレス鋼チャンバ内で実験が行なわれた。Iでラベルした1ppm相当のNa1が精製したNaと混合し、空気中で加熱され、燃焼させた。MayPackの測定から空気中に放出したヨウ素の大部分はエアロゾル状であった。しかし、その一部は長時間にわたりチャンバ内に浮遊し、ラジオガスクロマト分析から有機ヨウ素化合物であることが見出された。有機ヨウ素の生成率は軽水炉事故から得られたその値と類似していた。